この記事の概要
ここでは、建築系のおすすめの資格として二級建築士を紹介します。どのような人が取得されているか、受験資格はどのようなものか、独学で合格可能かなどについて説明します。私自身、二級建築士は学科・製図試験ともに一発で合格しています。
二級建築士
建築士とは?
建築士とは、建築士法に基づく資格で、国土交通大臣又は都道府県知事から免許の交付を受け、建築物の設計及び工事監理等の業務を行う技術者の資格です。
公益財団法人建築技術教育普及センター https://www.jaeic.or.jp/shiken/1k2kmk/architects_system.html
建築士の区分
公益財団法人建築技術教育普及センターによって実施されている試験で国家資格です。
建築士は一級建築士、二級建築士、木造建築士※に分けられ、資格に応じて扱える建物に制限が設けられています。
たとえば、一級建築士と二級建築士が扱える建築物は下記のように定められています。
※他に建築設備士や構造設計一級建築士、設備設計一級建築士があります。
試験概要
受験資格
受験資格は下記の4パターンあります。
指定科目を修めた方や建築設備士は実務経験不要ですが、そうでない方は実務経験が必要となります。
- 大学、高等専門学校などにおいて、指定科目を修めて卒業したもの
- 建築設備士
- その他都道府県知事が特に認めるもの(所定の年数以上の実務経験が必要)
- 建築に関する学歴なし(7年以上の実務経験が必要)
つまり、受験資格には、1.学歴のみ、2.資格のみ、3.学歴+職歴、4.職歴のみ、の4種あるということです。
受験までの流れ
- 受験申込書の入手
- 受験申込
- 受験票が届く
- 1次試験日
- 1次試験合格発表
- 2次試験日
- 2次試験合格発表
- 登録
受験申込書の入手
受験申込書は受付場所で受け取るか、ホームページより請求を行い配布期間に郵送で受け取ることになります。
受付場所による配布は新型コロナウィルスの影響で中止となっている可能性があります。
なので、ここではホームページからの請求例を示します。()内は参考までに令和2年度のものを示したものです。
- 資料請求期間(3月9日~3月19日)
- 資料配布期間(3月16日~3月27日)
郵送費用は、請求者負担となります(着払い)。
資格学校で申込書を代わりに取り寄せてくれるサービスを行っていたりします。
受験申込
受験申込書を入手したら、申込書を記入し、必要書類を揃えて申込みを行います。
受験の申込みは下記3種の方法があります。方法により受付期間が若干異なります。()内は参考までに令和2年度のものを示したものです。
- 郵送による受付(3月25日~3月31日)
- インターネットによる受付(4月13日~4月20日)
- 受付場所による受付(新型コロナウィルスの影響により中止)
インターネットによる受付は過去に受験した方で試験の申込に必要な個人情報の使用についてあらかじめ承諾をしている方に限り行えます。
必要書類
揃える書類は、初めて受験される方と過去に受験したことがある方で異なります。
受験したことがある人は過去の受験の際に一度、書類を提出し、審査を受けているので受験をしたことを証明できれば済むためです。
[初めて受験]
受験申込書、振込み証明書(受験料の振込)、写真2枚(縦4.5cm×横3.5cm 受験申込前6か月以内に撮影したもの)と受験資格に応じて下記を用意する必要があります。
1. 学歴で受験される方(平成21年以降の入学の場合で示しています)
指定科目修得単位証明書・卒業証明書
学校へ発行を依頼することになるので余裕をもって行った方が良いです。新型コロナウィルスの影響で郵送のみの対応となっている学校もあります。
2. 建築設備士で受験される方
建築設備士試験合格証書の写し
3. 学歴+実務で受験される方
指定科目修得単位証明書・卒業証明書 + 実務経歴書、実務経歴証明書
4.実務経験で受験される方
実務経歴書、実務経歴証明書
[過去に受験]
受験申込書、振込み証明書(受験料の振込)、写真2枚(縦4.5cm×横3.5cm 受験申込前6か月以内に撮影したもの)と合わせて下記を用意する必要があります。
・1次試験からの方
過去に受験した際の受験票または、合否の通知書
・2次試験からの方
過去に受験した1次試験合格通知書または2次試験の不合格通知書
受験手数料
¥ 18,500-
試験内容
[1次試験(学科試験)]
五肢択一方式
計画 | 25問 | ※3時間 |
法規 | 25問 | ※3時間 ※計画と法規は合わせて3時間 |
構造 | 25問 | ※3時間 |
施工 | 25問 | ※3時間 ※構造と施工は合わせて3時間 |
[2次試験(製図試験)]
あらかじめ公表された課題の建築物についての作図
例年、6月中旬に発表されます。
設計製図 | 1課題 | 5時間 |
試験日はいつ?
1次試験:7月5日 合格発表:8月25日
2次試験:9月13日 合格発表:12月3日
※令和2年度の例を記載してます。
1次試験の免除について
1次試験の合格者は合格をした年を含めて5年間の間に、2次試験に3回受験することができます。
その3回の受験については1次試験が免除され、2次試験から受験できます。
たとえば、令和2年に1次試験に合格した人は令和6年までの5回のうち、3回2次試験を受けることができます。
今年(令和2年)からこのように改正されています。
※令和元年以前に1次試験に合格された方は従来通り、合格年、翌年、翌々年の3回、2次試験を受けることができます。
どのような人が受験してるか?
1次試験合格者属性
受験資格別でみると、合格者の8割が学歴のみの区分であることが分かります。
職域別では、『住宅メーカー・工務店・大工』『建設業』『学生・研究生』の順で多くなっています。この3つの職域で全体の約7割を占めています。
年齢別では、24歳以下が全体の約6割を占めています。平均年齢は27.1歳と1級建築士の30.3歳と比べると少し若いことが分かります。
また、男女別では男66.7%、女33.3%となっています。
2次試験合格者属性
1次試験の合格者が受けるので当たり前ですが、全体的に1次試験と同様の傾向が見て取れます。
受験資格別でみると、合格者の8割が学歴のみの区分です。
職域別でも1次試験と同様に『住宅メーカー・工務店・大工』『建設業』『学生・研究生』の順で多くなっています。
年齢別では、30歳代までの年齢で全体の約9割を占めており、合格者の年齢層が比較的若いことが分かります。全体の平均年齢は1次試験と同様に27.1歳です。
また、男女別では男61.8%、女38.2%となっています。
合格率
総合の合格率
総合の合格率は22.2%~26.4%となっており、概ね4人に1人が合格していることが分かります。
1次試験の合格率
1次試験のグラフには合格基準点を合わせて表示しています。
合格率は36.6%~42.3%と年によって少しバラつきがありますが、2次試験に比べると合格率は低いことが分かります。
2次試験の合格率
2次試験の合格率は46.3%~54.9%と、2次試験だけを見ると受験者の約半分(5割)が合格していることが分かります。
また、1次試験の合格者数と2次試験の受験者数の差は、2次試験に2回以上挑戦している方々の人数となります。
年によって差異はありますが、約3割の方々が2回目以降挑戦、つまり製図試験経験者であることが分かります。
独学での取得は可能か?
独学での取得は不可能ではないと思います。
ただ、実際に受験した個人的な感想としては、1次試験は独学で大丈夫、2次試験は何かしら資格学校を利用した方が確実と考えています。
1次試験
私自身、1次試験は独学で勉強をしました。
勉強期間は3か月程度です。
やったことは試験の仕組みや大まかな試験内容を確認するために全体を網羅した簡単なテキストを1冊、読んだのと、あとは過去問を解いただけです。
結果は計画は満点、法規は24点で他は覚えていませんが概ね20点程度であったと思います。
使用したテキストや勉強方法など、具体的な内容は別投稿の『二級建築士 合格ガイド~1次試験編』で説明しています。
2次試験(製図試験)
2次試験については実際に受験された知り合いが近くにいて、製図の手順など教えてもらえる環境であれば独学でも可能と思います。
ただ、製図試験はコツのようなものもあるので、分からないことがある場合にすぐに聞ける人がいない方は独学では少しハードルが高いと思います。
分からないことがそのままになってしまう可能性があります。
因みに私は2次試験は建築士会が実施している講座に通いました。
建築士会の講座は私が通っていたときは、¥80,000-程度でした。一般的な資格学校と比べるとかなり格安です。
勉強方法について『二級建築士 合格ガイド~2次試験編~』で考察しています。
さいごに
ここで記載している内容から変更されている場合があります。
興味のある方は公益財団法人建築技術教育普及センターのホームページで詳細を確認してください。
また、間違いに気づかれた方はお教え頂けますと幸いです。