この記事の概要
ここでは、建築系のおすすめの資格として一級建築士を紹介します。どのような人が取得されているか、受験資格はどのようなものか、独学で合格可能かなどについて説明します。私自身、一級建築士は学科・製図試験ともに1発で合格しています。
一級建築士とは?
建築士の区分
公益財団法人建築技術教育普及センターによって実施されている試験で国家資格です。
建築士は一級建築士、二級建築士、木造建築士※に分けられ、資格に応じて扱える建物に制限が設けられています。
たとえば、一級建築士と二級建築士が扱える建築物は下記のように定められています。
※他により専門的な資格として、建築設備士や構造設計一級建築士、設備設計一級建築士があります。
一級建築士になるには?
所定の試験に合格し、登録を行うことで一級建築士となれます。
以前は一級建築士試験を受けるためには実務経験が必要でしたが、試験要項が変更され、現在は実務経験は登録要件となり、後付けで良いことになりました。
試験概要
受験資格
受験資格は下記の3パターンあります。
- 大学、高等専門学校において、指定科目を修めて卒業したもの
- 二級建築士
- 国土交通大臣が上記の者と同等以上の知識及び技能を有すると認めるもの
※3.は建築設備士などです。
一級建築士になるまでのフロー
- 受験申込書の入手
- 受験申込
- 受験票が届く
- 1次試験日
- 1次試験合格発表
- 2次試験日
- 2次試験合格発表
- 登録
受験申込書の入手
受験申込書は受付場所で受け取るか、ホームページより請求を行い配布期間に郵送で受け取ることになります。
受付場所による配布は新型コロナウィルスの影響で中止となっている可能性があります。
なので、ここではホームページからの請求例を示します。()内は参考までに令和2年度の日程を示しています。
- 資料請求期間(3月16日~4月3日)
- 資料配布期間(3月16日~4月10日)
郵送費用は、請求者負担となります(着払い)。
資格学校などで代わりに申込書を取り寄せてくれるサービスを行っていたりします。
受験申込
受験申込書を入手したら、申込書を記入し、必要書類を揃えて申込みを行います。
受験の申込みは下記3種の方法があります。方法により受付期間が若干異なります。
()内は参考までに令和2年度の日程を示しています。
- 郵送による受付(4月1日~4月7日)
- インターネットによる受付(4月13日~4月20日)
- 受付場所による受付(新型コロナウィルスの影響により中止)
インターネットによる受付は過去に受験した方で試験の申込に必要な個人情報の使用についてあらかじめ承諾をしている方に限り行えます。
必要書類
必要書類は、初めて受験される方と過去に受験された方で異なります。
[初めて受験]
受験申込書、振込み証明書(受験料の振込)、写真2枚(縦4.5cm×横3.5cm 受験申込前6か月以内に撮影したもの)と受験資格に応じて下記のものを用意する必要があります。
1. 学歴で受験される方(平成21年以降の入学の場合で示しています)
指定科目修得単位証明書・卒業証明書
学校へ発行を依頼することになるので余裕をもって行った方が良いです。新型コロナウィルスの影響で郵送のみの対応となっている学校もあります。
2. 二級建築士で受験される方
二級建築士免許証の写し
3. 建築設備士
建築設備士試験合格証書の写し
[過去に受験]
受験申込書、振込み証明書(受験料の振込)、写真2枚(縦4.5cm×横3.5cm 受験申込前6か月以内に撮影したもの)と下記のものを用意する必要があります。
・1次試験からの方
過去に受験した際の受験票または、合否の通知書
・2次試験からの方
過去に受験した1次試験合格通知書または2次試験の不合格通知書
つまり、1次試験からの人は受験したことがあることを証明できれば良く、2次試験からの人は1次試験に合格していることが分かれば良いということです。
受験手数料
¥ 17,000-
試験内容
[1次試験(学科試験)]
四肢択一方式
計画 | 20問 | ※2時間 |
環境・設備 | 20問 | ※2時間 計画と環境設備は合わせて2時間 |
法規 | 30問 | 1時間45分 |
構造 | 30問 | ※2時間45分 |
施工 | 25問 | ※2時間45分 構造と施工は合わせて2時間45分 |
[2次試験(製図試験)]
あらかじめ公表された課題の建築物についての作図
例年、7月下旬に発表されます。
設計製図 | 1課題 | 6時間30分 |
試験日はいつ?
1次試験:7月12日 合格発表:9月8日
2次試験:10月11日 合格発表:12月25日
※令和2年度の例を記載してます。令和2年度の1次試験は例年通りに行うと東京オリンピックと被るということで、例年より少し日程が早まっています。例年は7月第4週日曜日に実施しています。
1次試験の免除について
1次試験の合格者は合格をした年を含めて5年間の間に、2次試験に3回受験することができます。
その3回の受験については1次試験が免除され、2次試験から受験できます。
たとえば、令和2年に1次試験に合格した人は令和6年までの5回のうち、3回2次試験を受けることができます。
令和2年からこのように改正されています。
※令和元年以前に1次試験に合格された方は従来通り、合格年、翌年、翌々年の3回、2次試験を受けることができます。
どのような人が受験してるか?
1次試験合格者属性
受験資格別でみると、合格者の7割が大学卒区分であることから、受験者に占める大学卒の割合が高いことが分かります。
職域別では、『建設業』『建築士事務所』『住宅メーカー』の順で多くなっています。
年齢別では、24~29歳で全体の半分を占めています。全体の平均年齢は30.3歳です。
男女別では男74.6%、女25.4%となっています。
2次試験合格者属性
1次試験の合格者が受けるので当たり前ですが、全体的に1次試験と同様の傾向が見て取れます。
受験資格別でみると、合格者の7.5割が大学卒区分です。
職域別では、『建設業』『建築士事務所』『不動産業、研究教育など』の順で多くなっています。
年齢別では、少し1次試験と違い、30~34歳の合格者が多いことが分かります。
24~29歳の占める割合は1次試験と同様に多く、約半分です。全体の平均年齢は32.0歳です。
男女別では男72.0%、女28.0%となっています。
合格率
総合の合格率
総合の合格率は10.8%~12.5%と難易度が高いことが見て取れます。
※1次試験、2次試験の総合の受験者数は運営元のデータに明示されていないため、合格率と合格者数から逆算して求めています。
1次試験の合格率
1次試験のグラフには合格基準点を合わせて表示しています。
合格基準点は平均点によって決まるもので平均点が高い場合には高くなります。令和元年の試験は例年と比べて少し基準点が高かったことが分かります。
合格率は16.1%~22.8%と年によって少しバラつきがありますが、2次試験に比べると合格率は低いことが分かります。
2次試験の合格率
2次試験の合格率は35.2%~42.4%と、2次試験だけを見ると受験者の約4割が合格していることが分かります。
また、1次試験の合格者数と2次試験の受験者数の差は、2次試験に2回以上挑戦している方々の人数となります。
年によって差異はありますが、概ね半数の方々が2回目以降挑戦、つまり製図試験経験者であることが分かります。
製図試験に初挑戦の方は経験者の方々より努力しないと合格が難しいと言えます。
※追記
令和2年度の合格率 34.4%
独学での取得は可能か?
独学での取得は不可能ではないと思います。
ただ、実際に受験した個人的な感想としては、1次試験は独学でも大丈夫、2次試験は何かしら資格学校を利用するのが良いと考えています。
1次試験(学科試験)
私自身、1次試験は、ほぼ独学に近い勉強をしました。
受験当時、仕事やプライベートでバタバタしていたこともあり、勉強する時間をあまり作れませんでした。実際に勉強したのは、1か月ちょっとです。
なので、やったことは、おおまかには過去問を解いたのみです。過去問を解き、分からない部分をテキストで調べるという、かなりシンプルな勉強をしました。
結果は125点満点中104点で合格しました(合格基準点88点)。
私が勉強した具体的な方法などは別投稿の『一級建築士 合格ガイド』で説明していますので興味がある方はご覧ください。
因みに、ほぼ独学と書いたのは、資格学校のテキストを使用したからです。
2次試験(製図試験)
2次試験については設計事務所等で周りに同様の環境で取得された方などがいる場合は可能かと思いますが、そうでない方にとってはかなりハードルが高いと思います。
結論からいうと、初受験の方はなんらかの資格学校を利用した方が良いです。
ちなみに、私は資格学校に通いました。
学校といっても通信講座、一般的な資格学校(総合資格学院や日建学院)、建築士会と様々あります。学校毎の違いは『合格ガイド~番外編 勉強方法考察~』で考察していますので興味がある方はご覧ください。
さいごに
ここで記載している内容から変更されている場合があります。
興味のある方は公益財団法人建築技術教育普及センターのホームページで詳細を確認してください。
また、間違いに気づかれた方はお教え頂けますと幸いです。