この記事の概要
一級建築士試験に合格するために必要なことを、私の実体験を交えて『必要な道具とおすすめテキスト編』『実施編① 1次試験』『実施編② 2次試験~全体像~』『実施編② 2次試験~エスキス~』『実施編② 2次試験~記述~』『実施編② 2次試験~作図~』の6部構成で解説していきます。1級建築士は私自身、学科製図ともに1発で合格しています。
2回目の『実施編① 1次試験』では、1次試験に合格するまでにやるべきことについて説明し、いつから勉強を始めれば良いかまで説明します。また、最後に私の実体験をご紹介します。
受験資格や試験日などの試験の概略は別投稿『おすすめ資格 一級建築士編』で説明していますので見られていない方はぜひご覧ください。
勉強を始める前にすること(これがかなり大事!!)
結論から言いますと、『スケジュールを作成』することです。
勉強を始めるときに1番やってしまうのが、計画を立てずにとりあえず始めてしまうことです。
これは効率が悪いばかりか、勉強が続かない(集中できない)原因となります。
たとえば、試験日までの残りの日数が10日しかない場合、あなたならどうするでしょうか。おそらく、やみくもに勉強するのではなく、時間が無いなりに問題を分析し、少しでも良い点を取ろうとすると思います。
しかし、時間がある場合はどうでしょう。何から手をつけて良いか分からず、とりあえずテキストを開くという感じになっていないでしょうか。
また、試験までに時間がない場合、勉強に集中できるはずです。テスト前に勉強していて全然集中できていなかったのにテスト直前には焦って集中していたという経験はないでしょうか。
これらは、要は人の時間に対する危機感の表れだと思います。試験日がかなり先にある場合は時間が長いため、危機感がなく集中できませんが、試験日が近づくと危機感を抱き、やるべきことが見えてくるのです。
つまり、試験日がかなり先であっても計画をきちんと立てることで、意識が変わり集中して勉強に取り組むことができるようになるわけです。
また、勉強した時間は後で見返せるように記録を付けましょう。この記録を付けるだけでも意識がかなり変わります。
ここではまず、スケジュールを立てるために必要なことを整理し、試験日の何日前から勉強を始めるべきなのかまでを考えていきます。
合格までに必要な勉強時間
一級建築士の学科試験に必要な勉強時間は一般的に1000時間程度必要と言われています。
しかし、実際には勉強する人が現在もっている知識や経験、勉強の仕方などによって差異があるはずです。
なので、この時間はあくまで参考程度と考えてください。
試験範囲の把握と合格基準点
次に試験範囲を把握する必要があります。
一級建築士の試験範囲は下記の5教科になります。
学科Ⅰ | 計画 | 20問 |
学科Ⅱ | 環境・設備 | 20問 |
学科Ⅲ | 法規 | 30問 |
学科Ⅳ | 構造 | 30問 |
学科Ⅴ | 施工 | 25問 |
また、合格基準点は下記のようになっています。
平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | 令和元年 | 令和2年 | ||
学科Ⅰ | 計画 | 11点 | 11点 | 11点 | 11点 | 11点 |
学科Ⅱ | 環境・設備 | 11点 | 11点 | 11点 | 11点 | 10点 |
学科Ⅲ | 法規 | 16点 | 16点 | 16点 | 16点 | 16点 |
学科Ⅳ | 構造 | 16点 | 16点 | 16点 | 16点 | 16点 |
学科Ⅴ | 施工 | 13点 | 13点 | 13点 | 13点 | 13点 |
総合得点 | 90点 | 87点 | 91点 | 97点 | 88点 |
各科目の目標点数
例年の合格基準点(総得点)は概ね90点程度であるので、できれば100点は取りたいです。125点満点中100点なので8割となります。
そこで、各科目の目標点数は8割以上とします。
学科Ⅰ | 計画 | 16点 |
学科Ⅱ | 環境・設備 | 16点 |
学科Ⅲ | 法規 | 24点 |
学科Ⅳ | 構造 | 24点 |
学科Ⅴ | 施工 | 20点 |
総合得点 | 100点 |
実際には得意不得意の科目があると思いますが、バランスは後で考えれば良いです。
たとえば、法規は答え(法令集)を持ち込んでテストに挑むので24点以上取ることは難しくありません。
テキストの準備
次にテキストの準備です。
用意しなければならないものは、テキストと過去問です。
試験範囲がかなり広いので、テキストは各科目毎にあった方が良いです。
私は某資格学校のテキストと過去問を使用しました。
以後、テキストについては私自身が使ったものを例に説明を進めます。
一般的な事柄を説明しますので、皆さんのテキストに置き換えて考えてください。
合格までのスケジュール作成
ここまでで、試験前にスケジュールを立てる大事さ、試験範囲の把握、目標点の設定、テキストの準備までを説明してきました。
ここでは勉強するために必要な日数を逆算し、合格までのスケジュールを立てます。
テキスト毎の必要日数の割出
[テキストを読むのにかかる日数]
本を読むスピードは一般的に1分間に600字程度と言われています。1ページに2分程度かかると仮定すると、1時間で30ページ読めることになります。
例えば1日に2時間勉強した場合は1日で60ページ進めることができます。
そうすると、各教科書を勉強するのに下記の日数が必要となります。合計で25日(1か月程度)必要です。
科目 | 総ページ数 | 必要日数 | |
学科Ⅰ | 計画 | 307ページ | 約5日 |
学科Ⅱ | 環境・設備 | 365ページ | 約6日 |
学科Ⅲ | 法規 | 349ページ | - |
学科Ⅳ | 構造 | 427ページ | 約7日 |
学科Ⅴ | 施工 | 399ページ | 約7日 |
法規については個人的にテキストを読む必要はないと考えています。実際に法令集を引く方がよっぽど効率が良いです。
私自身、法規のテキストは1度も開くことがありませんでした。
[過去問を解くのにかかる日数]
まず、問題を解く目標時間を考えます。各科目で見直しの時間を考えると、最終的には下表の時間で解けるようになるのが理想的です。実際には学科Ⅲの法規以外は時間に余裕があると思います。
ここでも、テキストの場合と同様に1日に2時間勉強した場合を考えます。過去問を解く際は、解説を理解することを重視した方が良いです。理由は後述します。
学科Ⅰ計画を例とした場合、1問あたり2.5分で解説理解に5分程度かけたとします。すると1日で概ね16問解くことができます。
すると、過去問を全て解くのにかかるの日数は約13日です。全体で81日(2か月半程度)必要です。
科目 | 問題数 | 試験問題数 | 試験時間 | 1問あたりの目標時間 | 必要日数 | |
学科Ⅰ | 計画 | 200問 | 20問 | ※2時間 | 2.5分/1問 | 約13日 |
学科Ⅱ | 環境・設備 | 200問 | 20問 | ※2時間 | 2.5分/1問 | 約13日 |
学科Ⅲ | 法規 | 300問 | 30問 | 1時間45分 | 3分/1問 | 約20日 |
学科Ⅳ | 構造 | 300問 | 30問 | ※2時間45分 | 2.5分/1問 | 約19日 |
学科Ⅴ | 施工 | 250問 | 25問 | ※2時間45分 | 2.5分/1問 | 約16日 |
勉強の進め方
[テキスト]
テキストを読む段階で多いミスは全てを理解しよう(覚えよう)として、勉強がはかどらず、挫折してしまうことです。
テキストを一度に全て理解するのは不可能だと割り切りって考えましょう。
まずは、全体の骨組を理解するように読むのがポイントです。たとえば、学科Ⅰの計画ですと、建築の実例がたくさん出てきますが、ここで無理して覚える必要はないです。
こういった知識は骨組を作ってから枝(知識)をつけていくと考えたらよいです。枝を付ける過程はテキストをもう一回読んだり、過去問で整理したりです。
[過去問]
先ほど、過去問を解く際は解説を理解することを重視した方が良いと言いました。
理由はテキストはさらっと流しているので過去問で理解度を確認するとともに知識を増やしていくためです。
そのため、四肢のうち正答だけを確認するのではなく、誤答についても理解するように心掛けてください。解説で理解できない場合はテキストで調べましょう。
また、問題を解いたら下記のようにマーカーを付けてください。色は好みのもので分けてください。
- 問題なく解けた → 青マーカー
- 悩んで間違った → 黄マーカー
- 分からなかった → 赤マーカー
過去問は最低でも3周程度するようにしてください。
2周目以降は緑マーカーと赤マーカーのみをすれば良いので、周を重ねるごとに問題数(必要時間)は減っていきます。
[全体]
勉強は各科目ごとに行うのがおすすめです。
つまり、学科Ⅰ計画のテキストを読み、次に学科Ⅰ計画の過去問を一気に解きます。
それが終わったら、学科Ⅱ環境・設備といった具合です。
学科Ⅴ施工の過去問まで終わり、1周したら過去問の2周目を行います。
ここからは過去問を繰り返すだけでも良いと思います。
ただ、新しい問題など、過去問では拾いきれない部分が多くあるため、時間に余裕がある方は2周目もテキストから始めると効果的です。
勉強開始時期の逆算
テキスト・過去問から逆算した日数と勉強できる時間を比較して勉強開始時期を逆算します。
[テキスト・過去問から逆算した日数]
テキスト:1周目50時間、2周目50時間 合計100時間
過去問:1周目162時間、2周目108時間、3周目72時間、合計342時間
総合計:442時間
[勉強できる時間]
勉強できる時間はモデルケースが必要なため、下記のように仮定します。
平日:2時間、土日:8時間、1週間の合計勉強時間:26時間
以上から、モデルケースの場合は17週間(119日)の勉強時間が最低でも必要ということが分かります。
人により知識量に差があるので全てここで示した通りにはいきません。なので、テキストを実際に読んで時間がもっとかかるようなら、その部分を調整してみてください。
また、自身が無い方は4周目をするのも良いです。自分なりにテコ入れをして、あなたがいつから勉強を始めるのがベストであるか計画を立ててみてください。
こういった準備は早い方がいいので、すぐに行動に移しましょう。
また、ここで示した勉強方法は一級建築士の試験に限った話ではないので他でも活用してもらえると幸いです。
合格までのスケジュール
モデルケースの場合の合格までのスケジュールを参考までに記載します。
※令和2年度を例としています。
実際の勉強方法(実体験:私のケース)
当時私は、仕事とプライベートでとてもばたばたしており、1級建築士の受験は諦めていました。
1級建築士試験に合格するために資格学校に申し込んでいたのですが、数回行っただけでそれからは1度も行っていませんでした。
資格学校の方にも今年はもう受けるつもりはありませんと伝えていました。
ただ、訳あって幸いにも勉強する時間が作れるようになりました。しかし、その時期は6月で試験まで1か月少ししかありませんでした。
受けるつもりがなかったので、法令集の線引きやインデックスの貼付けも、この時点では終わっていませんでした。
ただ、一級建築士に受かりたい気持ちはあったので急いで計画を立てました。
具体的には、各科目を1週間ごとに分け、過去問を解くことに集中しました。もちろん分からないところはテキストで確認しました。
他のサイト等で過去問のみでは合格は不可能という記事を見かけますが、不可能ではありません。現に私は初受験で合格しています。
要は勉強の仕方が良くないわけです。過去問を解き、問題を暗記しようとすると、それには限界があります。そうではなく、内容を理解するように解きます。
そうすれば、過去問でも合格は可能であると断言できます。
私は合格基準点が90点未満のときにこの方法で100点超えで合格しました。
ここで説明させて頂いた内容は私がやった勉強方法をより丁寧にしたものです。
なので、時間を作って勉強を進めれば合格できるはずです。
質問があればお答えしますので、是非、頑張ってみてください。
応援しています!!