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【合格ガイド】一級建築士試験 学科試験・製図試験ともに1発で合格した勉強方法を徹底解説~実施編② 2次試験 全体像~

一級建築士 Qualification(資格)
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この記事の概要

一級建築士試験に合格するために必要なことを、私の実体験を交えて『必要な道具とおすすめテキスト編』『実施編① 1次試験』『実施編② 2次試験~全体像~』『実施編② 2次試験~エスキス~』『実施編② 2次試験~記述~』『実施編② 2次試験~作図~』の6部構成で解説していきます。1級建築士は私自身、学科製図ともに1発で合格しています。

3回目の『実施編② 2次試験~全体像~』では、まず2次試験の全体の流れから説明します。合格基準はどうなっているのか、試験時間配分はどうするのか、勉強はいつからはじめるべきなのかなどについて説明していきます。

製図の手順は私が実際に行っていたやり方です。

受験資格や試験日などの試験の概略は別投稿『おすすめ資格 一級建築士編』で説明していますので見られていない方はぜひご覧ください。

製図試験について

2次試験の進め方と時間配分は?

2次試験の試験時間は6時間30分です。時間配分とフローは次のようになります。

  1. 課題の読み取り:20分
  2. エスキス:120分
  3. 記述:60分
  4. 作図:170分
  5. 見直し:20分

各項目についての詳しい内容は後で説明します。

採点基準は?

採点結果については次のランクⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの4段階に区分され、ランクⅠのみが合格となります。

  • ランクⅠ:「知識及び技能」*を有するもの
  • ランクⅡ:「知識及び技能」が不足しているもの
  • ランクⅢ:「知識及び技能」が著しく不足しているもの
  • ランクⅣ:設計条件及び要求図書に対する重大な不適合に該当するもの

*「知識及び技能」とは、一級建築士として備えるべき「建築物の設計に必要な基本
的かつ総括的な知識及び技能」をいう。

ランクⅣ:重大な不適合(一発OUT!!)

重大な不適合を犯してしまうと一発でランクⅣ、つまり不合格となるので内容を理解し、細心の注意を払うようにしましょう。

試験時間が6時間30分あり、確認することもたくさんあるのでミスをしないというのは不可能に近いです。

ただ、絶対にしていけないミスだけは気づけるようにしましょう。

  1. 図面または記述が未完成(面積表も含む)
  2. 階数違反、指定された階数でないもの
  3. 図面相互の重大な不整合(上下階の不整合、階段の欠落等)
  4. 建築面積違反
  5. 床面積違反
  6. 主要な要求室の欠落
  7. その他設計条件を著しく逸脱しているもの

ランク別割合~合格する図面とは?~

平成27年平成28年平成29年平成30年令和元年
(10/13)
令和元年
(12/8)
ランクⅠ40.5%42.4%37.7%41.4%36.6%34.2%
ランクⅡ25.2%27.1%21.2%16.3%3.0%5.3%
ランクⅢ23.3%20.7%29.9%16.5%29.2%31.9%
ランクⅣ11.0%9.7%11.2%25.9%31.1%28.6%
出典:公益財団法人建築技術教育普及センター

平成30年からランクⅣの割合が高くなっていることが見て取れます。

また、令和元年からランクⅡの割合が極端に下がり、ランクⅢの割合が高くなっています。

ここから分かることは、近年、建築士として求められる技能水準が厳格なものとなってきていると考えられます。

製図試験は学科試験のように明確な1つの答えを出すことができません。また、採点官も多数いるため、誰が見るかによって合否が変わる可能性があります。

そのため、平成30年までのランクⅡ、Ⅲの割合は同程度となっていたのだと思います。

しかし、令和元年からのランクⅡ、Ⅲの割合は明らかに違います。これは、何か基準が設けられたのではないかと思われます。

ただ、課題内容によってその基準は変わるので公表されることはないでしょうが。

この傾向は今後も続くと推測されるのでより高い水準の製図が求められるといえます。

勉強はいつから始めればいい?

2次試験は例年10月初旬に実施されます。

また、試験課題は例年7月下旬に公表されます。

結論からいうと、製図試験の勉強は課題が公表されてからで大丈夫です。

試験が公表される理由は公平を期すためです。一級建築士試験は設計士のみではなく施工監理や構造設計、行政、積算など様々な職域の方が受験しています。

課題公表が無く試験が行われると当然、普段から設計の仕事をしている設計士が有利になってしまいます。

製図は課題内容によって押さえるポイントに違いがあるので、予め課題を公表することで準備期間を与え、受験者全てに公平になるように試験を実施しているわけです。

なので、公表後から準備しても間に合います。

初受験の方はどのような手順で製図を進めるかなど、概要について理解しておけば、課題公表後、スムーズにスタートできます(やっておきましょう)。

合格までに何枚書けばいい?

一般的には20枚~30枚程度必要と言われています。

製図は概ね3時間以内に書く必要があります。ほとんどの人が2時間30分~3時間の間であると思います。

まれに強者で2時間を切るという人もいますが。

要はこの時間で書けるようにするために手順を覚えて繰り返すわけです。

多い人では100枚近く書かれる方もいるそうです。

2次試験流れ

  1. 課題の読み取り:20分
  2. エスキス:120分
  3. 記述:60分
  4. 作図:170分
  5. 見直し:20分

エスキス用紙の使い方

用紙は下記のように折りましょう。

各項目の詳しい内容をここで書くと長くなるので詳細は次回『エスキス編』で説明します。

alt=”一建築士 エスキス用紙の使い方”

・左上

ここで重要項目などを整理します。

私は、課題のテーマ、建蔽率と建築面積、必要な設備、アプローチの検討、機能図、建築可能面積(高さと採光の検討も合わせて)、グリッドの検討まで行っていました。

上図は建築可能面積が書ききれなかったので便宜上、左下に書きました。

・左下

ここはゾーニング用に使います。

ゾーニングは人によってやり方が異なりますが、下記の2パターンが多いです。

① 1コマゾーニング → 4コマゾーニング

② いきなり4コマゾーニング

・右上

ここはほとんど使うことはありません。

ゾーニングに失敗したときなど、書くところがないときの予備です。

・右下

実際に書く図面は1/200ですが、ここに下書きとして1/400で書いていきます。

これを見ながら製図をしていくことになります。

課題の読み取り(20分)

課題文の読み取りは最低でも2回は行うようにしましょう。

必ずと言っていいほど、読み落としがあります。

この読み取りを適当にして前提を誤るとせっかく時間をかけてエスキスしても大きな減点をされてしまいます。減点で済めば良いですが、失格となる可能性もあります。

課題の内容がエスキスや図面にきちんと反映できているか、見直しをするときに課題文を使うと効率的なので、数色用意して課題文にマーキングしていきます。

たとえば、私は主テーマなど抽象的な事柄をピンク、アプローチと法規をイエロー、面積や階数などの数値をブルー、要求室・什器をグリーンの4色とし、見直しのときにはイエロー、ブルー、グリーンを確認していました。

この色分けはやり易いように、適宜調整するのが良いと思います。色分けを細かくすると視覚的にすぐにどこに何が書いてあるか分かりますが、課題文の読み取りに時間がかかってしまいます。

エスキス(120分)

エスキスの流れは下記のようになります。

  1. ポイントの書き出し
  2. アプローチと高さの検討
  3. 機能図の検討
  4. 建築可能面積の算出
  5. グリッドの検討
  6. 面積の確認
  7. ゾーニング
  8. エスキス
  9. 見直し

エスキスは120分を目安に行います。この時間が増えていくと、製図の時間が減っていくというように考えると良いです。

感覚的には7のゾーニングが上手くいっていれば8のエスキスは30分程度で終わりますが、そうでない場合は60分程度かかる場合やそれ以上かかることもあります。

理想としては7のゾーニングまでを60分で終わらせ、余裕をもって8のエスキスを行えれば良いです。

記述(60分)

計画の要点と呼ばれるもので60分で完成が目標です。

スムーズにいけば60分かかりませんが、前述のように記述の採点も合格に影響しますのですべて書くようにし、見直しも行いましょう。

記述の対策については『実施編② 2次試験~記述~』で解説しています。

作図(170分)

作図の流れは下記のようになります。各階ごとに仕上げるのではなく、各項目は一気に仕上げるようにします。作図時間は170分です。

作図は少しでも余裕をもてるように、練習段階では150分(2時間30分)を目指すと良いと思います。

  1. 氏名・受験番号を書く
  2. 面積表を書く
  3. 平面図の中心線を書く(私はこの工程はしていませんでした。)
  4. 断面図の中心線を書く
  5. 平面図の柱を書く
  6. 寸法を仕上げる
  7. 延焼ラインを書く
  8. 平面図の外壁と開口部を書く
  9. 平面図の内壁と開口部を書く
  10. 断面図を一気に仕上げる
  11. 階段・EVを仕上げる
  12. トイレを書き込む
  13. 建具を書き込む
  14. 防火設備記号・避難距離・什器を書き込む
  15. 室名を記入する
  16. 外構を仕上げる
  17. 見直す

見直し(20分)

製図が完成したら、書き忘れや誤記がないか確認します。

この際に、課題の読み取りの際のマーキングを使用します。

前述のように私の場合はイエロー(アプローチと法規)、ブルー(面積や階数などの数値)とグリーン(要求室・什器)の3色の部分を確認していました。

また、初めはチェックリストを作成し、毎回それを確認するのが良いと思います。

私が使っていたものを参考までに貼っておきます。

alt=”一建築士 チェックリスト”
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