この記事の概要
一級建築士試験に合格するために必要なことを、私の実体験を交えて『必要な道具とおすすめテキスト編』『実施編① 1次試験』『実施編② 2次試験~全体像~』『実施編② 2次試験~エスキス~』『実施編② 2次試験~記述~』『実施編② 2次試験~作図~』の6部構成で解説していきます。1級建築士は私自身、学科製図ともに1発で合格しています。
1回目の『必要な道具編』では、私が実際に使っていた道具やおすすめのテキストをご紹介します。
受験資格や試験日などの試験の概略は別投稿『おすすめ資格 一級建築士編』で説明していますので見られていない方はぜひご覧ください。
必要な道具
私が使っていて良かったと思った道具についてご紹介します。
1次試験
● ファイルケース
法令集は紙が薄く、またインデックスを貼るのでそのままカバンにいれて持ち運ぶと、インデックスが剥がれたり、ページが折れたり、破れることもあります。
下記のようなファイルケースに入れると良いです。
写真は日建学院の法令集ですが、法令集の大きさに応じてファイルを探されるのが良いと思います。
日建学院の法令集ですと、100円ショップ(ダイソー)に売っているものでちょうど納まります。
● メンディングテープ
これまた法令集のことなんですが、せっかく貼ったインデックスが剥がれるといけません。メンディングテープで補強することをおすすめします。
インデックスの幅に応じて、メンディングテープを探せばよいです。
ちなみに100円ショップにもメンディングテープは売っています。
↓のものは左から12mm、15mm、24mmです。
2次試験
● 平行定規
2次試験はフリーハンドでも良いとなっていますが、平行定規は用意しましょう。
レモン画翠さんが分かりやすく平行定規の比較をしてくれているので引用します。
金額は変動しているので参考程度としてください。
特徴でいくと、コクヨは軽量で割安ですが、ビニール製図板なので毎回ドラフティングテープを用いる必要があります。
ムトーはマグネットタイプで軽量です。また、滑り止めがついていたりフローティング高さが調整できたりと機能性が高く、人気です。ただ、少し割高です。
マックスは軽量でムトーと同じくらい人気があります。
ステッドラーはドイツメーカーで業界では有名なので人気があります。少し重量があるので持ち運びが少ない方には良いと思います。
ドラパスは可もなく不可もなくといったところでしょうか。
ちなみに、私はムトーを使っています。5年程度使用していますが、不具合は生じていません。
ソフトケースが付いていないものもあるのでその場合はケースも合わせて用意しましょう。
● シャープペンシルと赤マジック、フリクションマーカー
エスキスから記述、製図まで1本でやる方が持ち替えの時間が無く、効率的です。
別投稿『実際の作図例(手書き)』で実際に私が作図したものを掲載しています。イメージが沸かない人は一度確認すると分かりやすいと思います。
私は0.7mmを1本だけ用意していました。濃い方が図面がきれいに見えるので、2Bがおすすめです。
おすすめはステッドラー925 35-07のものです。製図用シャープペンシルは少し重さがあった方が良いのですが、丁度良いです。あと、ペンてるのグラフギアも良いです。これは使わないときにペン先を格納しておくことができます。
もう1本用意する場合は0.5mmが良いと思います。0.3mmは折れやすいのでおすすめしません。
あと、6時間半シャープペンシルを握っていますのでペンだこができたり、指が痛くなります。緩衝材をつけることをおすすめします。
また、赤マジックなどを用意すると良いです。エスキスの際に柱を簡単に書くことができます。
フリクションマーカーは課題の読み取りに使います。間違えることもあるので消せるほうが便利です。
色を分けて課題にマーカーを引いていくので数色用意しておいた方が良いです。
私は、主テーマなど抽象的な事柄(ピンク)、アプローチと法規(イエロー)、面積や階数などの数値(ブルー)、要求室・什器(グリーン)の4色としていました。
エスキス後、製図後に見直すときにこのマーカー利用することになるので、製図する中でやり易いように独自に工夫していけば良いと思います。
● プラスチック消しゴム
細かいところを消すためのペン型消しゴムと、普通のプラスチック消しゴムがあれば良いです。
字消し板は細かい割にあまり綺麗に消せないので使っていませんでした。
● 定規とコンパス
定規は2つ用意すれば良いです。
バンコのテンプレート付き三角定規と勾配定規です。
基本的な線は全てバンコの定規か平行定規を使って引きます。屋根の勾配指定があるときなどに勾配定規を使います。
勾配を計算して高さを出せば、勾配定規は必要ないですが、あった方が便利です。
基本的な円はバンコのテンプレートで対応可能ですが、たまに直径〇m以上の空間という指定がされた場合など対応できないことがあります。その場合にコンパスを準備しておいた方が良いです。
● 製図用ブラシ
消しゴムを使うことも多いので製図用ブラシは必須です。
手で払ってしまうと製図用紙がすぐに汚れてしまい、やる気まで無くなってしまいます。
● ドラフティングテープとフローティングデスク
製図用紙を平行定規のマグネットを使用して固定しても良いですが、ずれることがあるので私はドラフティングテープで止めていました。
また、バンコや勾配定規などが図面に直接触れると消しゴムのカスやシャープペンシルの折れた破片などを引っ張って図面を汚すことがあるので、フローティングデスクを貼って接地面積を減らします。
● 製図用紙と5mm方眼ノート
資格学校に通っている方は製図用紙は学校からもらえますが、そうでない方は製図用紙が必要になります。
また、5mm方眼のノートを持っていた方が便利です。
私はA4サイズのノート1冊とB5サイズのルーズリーフを使っていました。
A4サイズのノートに自分の答案と解答例を書いて、ゾーニングを比較していました。
B5サイズのルーズリーフは、細かい部分(受付やトイレ、階段など)を覚えるのに使っていました。
普段からこれらを持ち歩き、気になったときに見返せるようにしていました。
● A3ファイル
製図用紙はA2となるので、答案用紙や解答用紙を保管するためにあると便利です。ページ数が少ないものだと、何冊も持ち歩くことになるので30ページ程度あるものがおすすめです。
● 三角スケール
2次試験で使う尺度は製図で1/200、エスキスで1/400、1/800くらいです。
なので、三角スケールは使わず、5mm方眼で対応可能なのですが念のため持っていた方が良いです。
ちなみにバンコにも1/200の尺度はついています。
● 計算機
面積の計算等のために計算機を用意しましょう。
加減乗除、ルート、メモリー、%機能、関数機能を限度とし、プログラム機能を有せず、小型で音のしないものと指定されていますので、関数電卓ではないものを用意しましょう。
● 時計またはストップウォッチ
試験時間を管理するために利用します。
アラーム等、音の機能は使用不可です。
● 傾斜台
試験本番までは必要ありません。試験会場の机は場所によっては低く、使いにくい場合があります。
そこで、平行定規に勾配をつけるための台を使います。資格学校に通っている場合は、学校からもらえますが、ダンボールで作った簡易的なものなので私は作りました。
100円ショップで道具を揃えれば、簡単に作れるので作るのをおすすめします。
作り方を紹介しているサイトがあるのでリンクを貼っておきます。参考にしてください。
ただし、試験に使える勾配は30°以下という規定があるのでその点だけ注意してください。
● 養生テープ
試験本番まで必要ありませんが、平行定規を机と固定するために使用します。
私は100円ショップのものを使っていました。
● セット品
1つ1つ揃えるのは面倒という方は、セット販売されているものを選ぶのも良いかと思います。
おすすめのテキスト
1次試験
独学の予定の方は下記の『スピード学習帳』を一通りやって全体像をつかんでから、過去問を解くことをおすすめします。
スピード学習帳は解説があまり充実していないので、適宜調べて補う必要がありますが、1冊でまとめられているので取り組みやすいです。
1度通してやると、全体像がつかめると思います。
2次試験
『建築系 おすすめの資格~一級建築士編~』で書かせて頂いたように、初受験の方で2次試験の独学はかなり難しいと考えています。
2次試験は課題の読み取りから始まり製図完成までを6時間半で行うテストです。例年、課題が発表されてから対策をしていくことになるわけですが、課題内容によって押さえるポイントに違いがあるため、想定されるいくつかのパターンの問題を解いておく必要があります。
資格学校に通う場合は学校側が問題を予想し、パターン化してくれます。なので、毎週の課題を解くことで、試験までにある程度の知識を吸収することができるわけです。
独学でこれを行おうとすると、課題内容のポイントや予想問題を自分で考えることになります。受験年の課題を想定した本が出るのも、課題発表後なので独学で市販の本を用いる場合はスタートが出遅れることは間違いありません。
逆に個人的にこれらのことができるのであれば、合格できると思います。
なので、2次試験については何らかの資格学校に通うことをおすすめします。
学校といっても通信講座、通学タイプの学校(総合資格学院や日建学院)、建築士会と様々あります。学校毎の違いは『一級建築士試験 勉強方法をまとめて考察』で考察していますので興味がある方はご覧ください。
ただ、学校に通う前に製図をどのように進めれば良いか分かっていれば、学校が始まってからスムーズにスタートを切れます。
2次試験は約4割が2回目以降の受験ですので、初受験の方は製図のHow toについて理解しておいた方が良いです。
下記の本は製図について書かれている数少ない本です。製図をどう進めていくのか書かれています。
予想問題はほとんどありませんが、日建学院から出ているものが割と良いと思います。