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【合格ガイド】一級建築士試験 学科試験・製図試験ともに1発で合格した勉強方法を徹底解説~実施編② 2次試験 エスキス~

エスキス用紙の使い方 Qualification(資格)
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この記事の概要

一級建築士試験に合格するために必要なことを、私の実体験を交えて『必要な道具とおすすめテキスト編』『実施編① 1次試験』『実施編② 2次試験~全体像~』『実施編② 2次試験~エスキス~』『実施編② 2次試験~記述~』『実施編② 2次試験~作図~』の6部構成で解説していきます。1級建築士は私自身、学科製図ともに1発で合格しています。

4回目の『実施編② 2次試験~エスキス~』では、エスキスの手順について説明していきます。

全体のイメージをつかんでいただくことを目的としていますので間違いはご了承ください。また、間違いに気が付かれた方はお教え頂けますと幸いです。

受験資格や試験日などの試験の概略は別投稿『【建築系 おすすめ資格】一級建築士編』で説明していますので見られていない方はぜひご覧ください。

エスキス用紙の使い方

試験では問題用紙(A2サイズ)1枚、製図用答案用紙(A2サイズ)1枚、記述用答案用紙(A3サイズ)1枚、エスキス用紙(A2サイズ)1枚が配られます。

エスキス用紙を使って、問題を整理し、製図の準備をしていくことになりますが、まずはエスキス用紙を使いやすいように4等分になるように折ります。

前回も掲載しましたが、イメージ図を再掲しておきます。

最終的に、右下に1/400のエスキスを仕上げれば良いので、他の部分の使い方は各自で工夫されると良いと思います。

ここでは、私が実際にやっていた方法を示すので参考としてください。

alt=”エスキス用紙の使い方”

ポイントの書き出し

まずはポイントの書き出しです。

課題分を2回以上読んで、マーキングした後に特に重要な項目を記載していきます。

私は建築面積と床面積、設備機器の選定と設置場所を書いていました。

ここからは例として令和2年度の課題を用いて説明します。課題はこちらで確認できます。

<参考例>

建築面積と床面積※

1,468.8㎡(建築面積)/2,400~3,000㎡(床面積)

※ほとんどの場合で容積率と床面積それぞれに制限が設けられていますが、床面積の方が厳しいことが多いです。

設備機器の選定と設置場所

設備機器および設置場所は指定がある場合と無い場合があります。無い場合は必要な設備を適宜設置します。

令和2年度はインフルエンザやノロウイルスへの対策を考慮して計画することが要求されたので換気には外気処理空調機を採用しています。

項目指定有無機器設置場所
給水受水槽+加圧給水ポンプ方式1F 受水槽室
昇降機人荷用+寝台用各階
消火消火ポンプ(ピットを貯水槽として利用)1F 消火ポンプ室
空調空冷ヒートポンプパッケージ方式屋上
換気外気処理空調機屋上
電気キュービクル+非常用発電機屋上
給湯マルチ型給湯器屋上

アプローチの検討

次にアプローチの検討を行います。

アプローチは利用者用とサービス(職員等)用の2つを考え、動線が交わらないように分けて設けるのが一般的です。

たいていの場合は、幅員が広い方の道路にメインアプローチ(利用者用)を設け、他にサービス用アプローチを設けます。

2面接道で道路幅員がどちらも同じ場合は間口の広さで決めます。

優先順位は、道路幅員、間口の広さ、利便性と考えて良いと思います。

ただ、製図試験には絶対の答えはありませんので、困ったときは実際に使うことを想定してください。~という理由でこちらをアプローチとしたということが言えるようにしていれば問題ありません。考え方は人それぞれです。

また、エスキスなので、全て確定させていこうとすると、難しい上に時間も必要以上に掛かってしまいます。なのでこの時点では、大体で設定して不都合が生じた場合に適宜修正を加えていくと考えてさっと決めてしまいましょう。

<参考例>

令和2年度の試験では建築地は北と西の2面で道路と接していました。北側道路は幅員8m(歩道付)、西側道路は幅員4m(歩道無)です。

そこで利用者用アプローチを北側、サービス用アプローチを西側に設定しています。

また、西側の認定こども園の園児の利用が求められていました。園児は歩道を通って建築地へ来ると考えられるため、北西側に園児用のアプローチも書いています。

このアプローチの検討で園児用などを書いていない場合に、課題の要求を図面へ反映できず、最終の見直しで気づくということになります。よくしてしまうミスなので、このタイミングで検討し、漏れを無くしましょう。

alt=”アプローチの検討”

機能図の検討

次に機能図の検討を行います。

機能図は平面、断面と行うのが一般的ですが、私は時間短縮のために平面のみを行っていました。

また、機能図はどのような動線計画が望まれているかが分かれば良いです。私は下記のように書いていました。

先ほどアプローチの検討で外の動線を考えましたが、今度は中の動線を考えるといったところです。

<参考例>

令和2年度の試験では居住部門と居宅部門に玄関を設けるよう指定されていました。こういった動線上に必要な部分について整理していきます。

ここで、玄関を書き忘れると、図面へ反映できず、最終段階で気づくということになりかねません。しっかりと書くようにしましょう。

alt=”機能図”

階の振り分け

次に階の振り分けを行い、断面のバランスを確認し、各階に必要な面積を求めます。

まずは要求された室の面積を確認するとともに、適宜と指定された部分の面積を決めていきます。

その後、要求された部門ごとに必要な面積を確認し、階の振り分けを行っていきます。

振り分け方としては、各階に分けて部門ごとに設置するのが一般的です。

ただ、面積の都合があるので、部門の面積が小さい場合や大きすぎる場合は2つの部門を同一階に設置したり、管理部門の一部を異なる階に設けたりして対応していきます。

設置する階は多くの人が利用する共用スペースを下の階に、プライバシーが必要なスペースを上階に設置するのが一般的です。

<参考例>

令和2年度は下記スペース(全体で1,504㎡)が必要でした。ただ、この面積は最低限必要ということで、廊下や階段・EV、トイレなどが含まれていません。

それらを含んだときにどの程度余裕があるか見るために指定された床面積が必要面積の何倍程度であるか確認します。

床面積の指定は2,400~3,000㎡だったので、1.59(=2,400÷1,504)~1.99(=3,000÷1,504)となります。この係数は1.6以上であることが望ましいです。

つまり、令和2年度のケースでは面積設定に余裕があったことがこの時点で分かります。

面積は余裕をもって設定した方がエスキスがしやすいので制限面積の最大値に近い値で設定する方が良いです。

今回の場合だと3,000㎡によせて設定します。

部門必要面積
居住部門(3ユニット)759㎡(1ユニットあたり253㎡)程度
居宅サービス部門255㎡程度
共用・管理部門(設備含む)490㎡程度
合計1,504㎡程度

以上より、下記のように設置する階を決め、各階の必要面積を求めておきます。

部門必要面積計算
1F共用・管理部門(設備含む)490㎡
2F居住部門(1ユニット)+居宅サービス部門508㎡253㎡+255㎡=508㎡
3F居住部門(2ユニット)506㎡253㎡+253㎡=506㎡
合計1,504㎡

建築可能面積の算出

次に建築可能面積を算出します。

まずは、屋外に必要な施設とその大きさを書きだします。

合わせて、道路斜線高さと採光の検討を行います。

求められた建築可能面積と建蔽率および各階の必要面積を比較し、建築可能面積を割り出します。

<参考例>

令和2年度の試験では下記のものが屋外に必要でした。

合わせて、高さ制限(ここでは道路斜線のみ)、採光の検討を行います。

敷地条件から道路斜線は西側を検討すればよく、採光は東側と南側を検討する必要があることが分かります。

北側の道路は幅員が8mあり、セットバックを考慮すると建築物の高さ(3階指定)は問題にならないので無視しています。

また、採光は道路や公園などがある場合は境界線までの離れにそれらを含むことができるので北側および西側は無視しています。

令和2年の試験問題では南側と東側に住宅地があるので、南側と東側の採光を検討する必要がありました。

項目必要スペース
HP(車いす用駐車場)×1台幅3.5m×奥行き5m程度
送P(送迎用駐車場)×1台幅2.5m×奥行き5m程度
SP(サービス用駐車場)×1台幅2.5m×奥行き5m程度
BP(駐輪場)×10台幅5m×奥行き2m程度
車寄せ幅16m×奥行き4m程度
屋外通路幅2~3m程度
テラス適宜

高さ制限(道路斜線)の検討

ご存じのように高さ制限は道路斜線制限、北側斜線制限、隣地斜線制限を考えなければなりません。

道路斜線だけが当てはまる場合が多いです。令和2年の試験も道路斜線制限のみが当てはまっていました。

道路斜線は道路からのセットバック分を対向地にもあるものとする緩和が適用できますが、柱幅を考慮すると道路から4m程度離す必要がありました(柱800角と仮定)。

ここで、建物高さを最小限に抑えるために塔屋や設備スペースは斜線制限に含まれない位置に配置するとし、建物高さは11,700と仮定しています。

採光の検討

採光に関しては居室をどのように配置するかによって当然必要な境界線からの離れが変わります。

1階に居室を設ける場合は庇の有無でも変わりますが、最低でも5m程度の離れが必要となります。

以上から、建築可能面積は下記のようになります。

1,050㎡では建蔽率は問題ありませんが、総3階とした場合は床面積がオーバーしてしまいます。

なので、次のグリッドの検討で調整していきます。

alt=”建築可能面積1”

グリッドの検討

次にグリッドの検討を行います。グリッドとは柱で囲まれた四角形のことをいいます。

鉄筋コンクリート構造の場合、一般的にグリッドの面積は50㎡程度となるようにします。一辺の長さ(以下、スパン)は6mまたは7mが使われることが多いです(他にも8mや9mも使われます)。

当然ですが、グリッドの面積は採用したスパンによって異なります。例えば、7m×7mを採用した場合49㎡、7m×6mを採用した場合は42㎡となります。

このスパンを決めるために、要求室の床面積や先ほど検討した建築可能面積を利用します。

要求室の床面積に50㎡の倍数が多ければ、7m×7mや6m×8mが都合が良いという具合です。

<参考例>

令和2年のようなユニットタイプの高齢者施設ではユニットを基準に決めていくと良いです。

1ユニットに対して、個室9室が要求されており、それぞれの床面積は17㎡以上と指定されていました。

幅42mに6mスパンを用いると7グリッドできます。1グリッドをコア(階段やEV)とすると上手く収まりそうです。

なので、ここでは短辺方向を7mスパン×1+8mスパン×2(23m)、長辺方向を6mスパン×7(42m)と仮定します。

短辺方向は、25mを全て使うと、床面積の合計が3,150㎡となり、制限をオーバーするので調整して23mとしています。

alt=”グリッドの検討”

すると、先ほどの建築可能面積は次のようになります。

alt=”建築可能面積2”

面積の確認

ここで、一旦、建築面積と床面積の確認を行います。

また、階の振り分けで確認した面積の余裕度を今度は各階について確認しておきます。

つまり、必要面積にはトイレや廊下、階段などが含まれていないので、各階の必要面積に対して設定した面積が何倍程度あるかみていきます。

<参考例>

建築面積と床面積はそれぞれ1,468.8(建築面積)/2,400~3,000(床面積)であるので、どちらも大丈夫であることが確認できます。

また、係数はいずれも1.90以上とこちらも問題なさそうであることが分かります。

設定面積必要面積係数判定
1F966㎡490㎡1.97OK
2F966㎡508㎡1.90OK
3F966㎡506㎡1.90OK
建築面積1,074㎡OK
床面積2,898㎡OK

ゾーニング、エスキス

ここから実際にゾーニングを行っていきます。

ゾーニング、エスキスはマクロ→ミクロの順で行います。

5mm方眼紙を利用する場合や実際に尺度を当てはめる場合がありますが、時間短縮を考えると、方眼紙を利用した方が良いです。

方眼紙を利用するデメリットとしては7m×6mグリッドや、複合スパンのときに方眼紙を利用するため、全て同じ長さになり、その差が目視で分からないことがあります。

ただ、マクロでみるときには細かいところを気にすると進まないので、方眼紙を利用する方が良いと思います。

1コマゾーニング(ここはやっていない人もいます)

私はここはやっていませんでした。

簡単に内容をまとめておきます。5mm方眼の1マス(5mm×5mm)を1グリッドとしてゾーニングしていきます。

ここでは、大まかな部門ごとの配置を決定します。

<参考例>

居宅サービス部門および居住部門、コアについてはグリッドの検討で決めたままです。

1Fの管理スペースと共有スペースは面積から大まかなグリッドの個数を決めて、分けていきます。

例えば、ここでは1F必要面積490㎡からエントランス(100㎡程度)、面会ラウンジ(30㎡程度)、交流スペース(100㎡程度)を除いた290㎡から10グリッド程度としています。

alt=”1コマゾーニング”

4コマゾーニングまたは1/800ゾーニング

私は1コマゾーニングを飛ばして、ここから行っていました。

5mm方眼紙の4マスで1グリッドとするか、1/800とするかのいずれかです。

ここでは廊下を通して、各諸室が収まるかを大まかに確認していきます。

ここで完璧にしようとすると時間がかなり掛かる上に、細かい部分までは分からないので結局1/400のエスキスで時間がかかってしまいます。

細かい部分は次の1/400で考えるくらいに思っておいて良いです。

<参考例>※ここでは4コマゾーニングで示しています。

黒の網掛けで廊下とEVホールを示しています。

廊下のコツは曲がり角を少なくし、直線で通すことです。外壁まで廊下を通すことで開口部を設けることができ、自然換気に配慮した設計とすることができます。

また、EVホールから直線で廊下を通すと綺麗に見えます。

alt=”4コマゾーニング”

エスキス(1/400)

仕上げとして、1/400でエスキスを完成させます。

この図面を見ながら製図をしていくことになるので自分が理解できる程度に仕上げる必要があります。

製図は時間が6時間30分あり、集中力を維持するのが難しいです。終盤になればなるほど見落としも多くなると考えられます。

なので、このエスキスをきっちりと仕上げる方が良いと考えています。提出するものではないので綺麗に仕上げる必要はありません。

また、ここでPSやDS、EPSを追記していきます。

見直し

最後に課題文を使って、見直しを行います。

見直しについては前回の投稿で記載していますので、割愛します。

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