この記事の概要
一級建築士試験に合格するために必要なことを、私の実体験を交えて『必要な道具とおすすめテキスト編』『実施編① 1次試験』『実施編② 2次試験~全体像~』『実施編② 2次試験~エスキス~』『実施編② 2次試験~記述~』『実施編② 2次試験~作図~』の6部構成で解説していきます。1級建築士は私自身、学科製図ともに1発で合格しています。
5回目の『実施編② 2次試験~記述~』では、記述について説明していきます。
受験資格や試験日などの試験の概略は別投稿『おすすめ資格 一級建築士編』で説明していますので見られていない方はぜひご覧ください。
記述は先に仕上げる
記述は製図試験6時間半の中のどのタイミングで仕上げても良いのですが、エスキス後に仕上げるのが良いです。試験の全体の流れはこちらで説明しています。
ほとんどの方がエスキス後に仕上げていると思います。まれに作図後に仕上げる方もいます。
理由としては、作図後は集中力が切れていると考えられるため、頭を使うことは早めにしておいた方が良いからです。また、作図は時間をかけようと思えばいくらでも時間をかけることができるので思いの他時間を使ってしまい、記述の時間が無くなる可能性もあります。
なので、エスキス後の比較的頭が活きているときに仕上げるのが良いと思います。また、分からないから後でやろうというのも避けた方が良いです。
書くのを忘れてしまうと未完成となり、重大不適合で失格となってしまいます。
エスキス後に60分使って、書き上げるようにしましょう。
記述内容について
記述試験の内容は下記4つです。例年これらの問題が数問ずつ計10問程度出題されます。
- 建築計画
- 構造計画
- 設備計画
- 環境負荷低減計画(パッシブデザイン)
文章のみで解答するものとイメージを合わせて答えるものがあります。試験元より問題用紙が掲載されているのでそちらを見るとイメージがわくと思います。解答例はありません。
問題用紙はこちらで確認できます。
ポイントについて
記述のポイントは図面と整合しているかどうかです。
記述は計画の要点を説明するものなので、記述には書いてあるけど図面には書いていないとなると減点の対象になると考えられます。
たとえば、『暖房時のショートサーキットを防止するために空冷ヒートポンプパッケージ方式床置きダクト接続型を採用し、吸い込みガラリを床面付近に吹き出し口を天井に設けた』と記述したにも関わらず、ダクトスペースや空調機スペースが無いと採点官にこの人は理解せずに解答しているのでは?と疑われてしまいます。
他にも『夏期の日射遮蔽や蒸散による冷却効果を期待し、屋上を緑化した』と記述したのに断面図の屋上には設備スペースしかないのも同様です。
記述したことは図面に反映させるようにしましょう。
採点基準について
明確な採点基準は残念ながらありません。ただ、よく言われているのは、図面は減点方式、記述は加点方式です。
求められている記述内容に対して解答するわけですが、いってしまえば記述は図面で説明しきれていない部分の補足説明です。
前回も書きましたが製図には絶対の解答がありません。なので、解答は自分なりに『~という理由でこうした』ということが言えるように解答していく必要があります。
ただ、そうしたことを全て図面に反映することはできません。なので記述でそれらを出し切って加点を狙うようにしましょう。
勉強方法について
資格学校に通われる方はそこで課題がでると思うので、その課題を1つずつ丁寧に解いていけばよいと思います。
解答を写すだけではなく、理解するようにしていれば、おのずと自分の言葉で書けるようになります。
独学で挑戦される方は、まず過去問を自分なりの言葉で解いてみると良いと思います。そうすることで自分の苦手なところに気が付くことができます。
また、『一級建築士記述研究所』というサイトで記述問題の解説をしているので利用するのも良いと思います。
試験本番では必ずといっていいほど毎年見慣れない問題が1問程度出題されます。
そのような場合はほとんどの人が戸惑っているはずなので、落ち着いて答えるようにしましょう。
ほとんどの人が答えられない場合は、それだけで失格となることはないはずです。ただ、空欄だと重大不適合で失格となってしまいます。
勉強を始めるタイミングは?
個人的にはなるべく早いタイミングから取り掛かる方が良いと考えています。
理由としては下記の2点があります。
①各計画の記述にはよく使われるいくつかの型があります。それらの型を早い段階で覚えた(理解した)方がその後に関連した知識を吸収しやすいため。
②2次試験ではほとんどの人が製図対策をメインに多くの時間を使っていると考えられます。その方々より一歩前に出るためには記述で勝つことが有効であると考えられるため。
私は実際、製図の勉強を始めるのとほぼ同時に記述対策も始めました。